2008年07月10日

橘家圓太郎「祇園祭」

フジテレビポッドキャスティング「お台場寄席」に収録。

落語協会の真打・橘家圓太郎師匠の「祇園祭」です。7月ということで京都の祇園祭の季節に合わせての配信ですが、テンポ、セリフ回し、笑い。全てのレベルが高い秀作という感じがしました。春風亭小朝師匠の一番弟子ということで、多少芸風が似ているところがあります。滑舌の良さは天性のものかもしれません。

江戸から京都へ旅に出た3人組。その中の一人が「とある理由」で京都の親戚の叔父さんに厄介になる。その叔父さんと祇園祭を見に行く予定がその叔父さんがドタキャン。替わりに来た見ず知らずの京都人と一緒に視る羽目になるのですが。。。京都人は「京都が日本一」と言いはる。それに腹を立てた江戸っ子は「江戸が一番」と言いはる。言い合いはエスカレートして…。

江戸と京都の対比ですが、方言はもちろんのこと、祭りのお囃子は絶品だと思います。お囃子が聴かせどころの噺は「片棒」などがありますが、それより難易度は高いでしょう。圓太郎師匠は難なくやっているように聴こえます。なんといいましょうか。エンジン性能の違い?ポテンシャルの高さ?これこそ「話芸」という名にふさわしい芸術だと思います。

喧嘩のシーンはテンポ良く掛け合いをすることで客を惹きつけることができるように思います。個人的には江戸も京都も「アウェイ」なので変に肩入れすることはありませんが、どちらかの味方という感じだとまた違う感想になるかもしれません。「東西対抗」の発想は江戸の頃からあったのですね〜。

ホント2人で演じている漫才を聴いているような感じでした。サゲにいくまでのスピード感と、サゲの急ブレーキ感も絶妙です。夏のこの時季に毎年聴きたいくらいの感動がありました。初夏の定番チューンになりそうな予感です。
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2008年06月26日

三遊亭鳳楽「大山参り」

 フジポッド「お台場寄席」に収録。

 三遊亭鳳楽師匠の「大山参り」です。30分以上の噺です。「軽快に飛ばす」というよりは、「噛み締めるようにじっくり聴かせる」感じの語り口です。時間を見つけて是非聴いてみたい一席だと思います。

 神奈川県にある大山や参拝して帰ってくる道中の出来事が主題になっていますが、いかにも江戸っ子という「喧嘩」が話の発端になっています。昔の江戸っ子は、多少お酒が入ったとはいえ、それほどまでに短気にカッとなって喧嘩していたんでしょうか?まあ、そこまでは「よくあること」なんだと思いますが、その後のストーリー展開が滑稽です。

 坊主になってしまった熊五郎が、江戸に先回りして…。今みたいに携帯電話で画像配信等が進んでいれば、「絶対ありえない」話なのですが、通信が普及していない、ニュースも伝わらない江戸時代には、こういう風な「作り話」も通用したのかもしれないです。夫婦の情愛もあるでしょうか?今の時代、仮に旦那さんが亡くなっても、ここまでする女性は皆無でしょうね〜。

 滑稽の部類だと思いますが、いろいろな人生訓も含まれているように思います。「復讐」の怖さも暗に伝えているでしょうか。悪ふざけも度が過ぎると、必ず仕返しが来る。古今東西、同じような事例は数知れず。肝に銘じておくべきでしょう。

 現代の常識では理解できない部分が多いのですが、こういった落語を通して江戸時代の風俗に触れると「忘れている日本人の気質や長所」を再発見できるような気がします。「喧嘩」や「いたずら」は決して肯定しませんが、罪のない、取り返しがつくレベルなら笑って許せるような気がします。その辺のさじ加減は、無意識で覚えるもの。最近、大人も子供も、微妙なさじ加減ができない人が増えているような気がするな〜。

 

2008年06月02日

古今亭菊丸「ちりとてちん」

 インプレスTV「社団法人 インターネット落語会 六月上席」に収録。

 ベテラン真打・古今亭菊丸師匠の一席。「ちりとてちん」というタイトルはテレビドラマでも御馴染みとなりました。江戸落語、上方落語にもある噺で、サゲも何種類かあるようです。菊丸師匠の「ちりとてちん」は表情豊かです。オーバーアクション気味に観客を惹きつけるという意味では、上方落語っぽい感じがしました。

 お世辞が上手なお向かいの「金さん」とぶっきらぼうで知ったかぶりをする裏の「六さん」が対比で描かれています。お世辞ばかりの人は、はたから見ていると「なんだ、こびを売ってる」とあまり良い印象ではありませんが、そういう人ほど地位の高い人に可愛がられる傾向があります。これは今も昔も同じでしょうか。

 やはり、金さんを好印象に、六さんを悪印象に演じ分けるのがポイントのように思います。演技力が重要な題目のような気がします。表情や目つき、話し方まではっきりとコントラストがついています。「いたずら」「意地悪」を題材にしているのに、変に暗い雰囲気はありません。むしろ、「許されるレベルのいたずら」ということで、ほのぼのとしています。

 さまざまな噺家さんがいますが、菊丸師匠は髪を七三に分けて、そのままサラリーマンをしていても不思議ではない感じの方です。「元気の良さ」「威勢の良さ」を売りにするというよりは、「上品さ」「粋」を売りにしている感じ。キャラクターに合ったスタイルで、熱演なのに、変なところに力みがない。聴いた後の爽快感もあります。おすすめの動画だと思います。
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2008年05月26日

古今亭志ん五「蜘蛛駕籠」

 フジテレビポッドキャスティング「お台場寄席」に収録。

 落語協会のベテラン真打・古今亭志ん五師匠の一席です。とにかくテンポがいいです。滑らかな口調で次から次へと登場するキャラクターを完璧に演じています。啖呵をきるシーンは迫力満点です。酔っ払いながら女性のセリフを言うシーンも巧いと思います。20分強です。是非ともお勧めです。

 「江戸っ子は気が短い」とよく言われますが、この落語を作った方も相当気が短かったのかな?と思います。矢継ぎ早に場面が展開していきます。駕籠屋が題材ですが、今では時代劇などでしか見かけることがありません。「おさるのかごや」という童謡がありますが、検索してみると2人で「エッサ エッサ」と担ぐ駕籠がどういうものか判ります。

 マクラが面白くて、全体の構成の中でも重要な役割を果たしています。当時の駕籠屋の様子を紹介、街道沿いの雲助連中が担ぐ「くもかご」へとスムーズに噺が進みます。書物で教わることではありません。口伝だからこそ「へえ、そうなんだ」という感動があります。それにつけても、実際、江戸時代の雲助に逢ったこともないのに巧く演じているなあと思います。古今亭志ん生、志ん朝の流れをくむ芸の味わい深さが随所に見え隠れします。

 サゲも好きな感じです。聴いた後、時間が経って冷静に考えれば「ありえない」「明らかにコメディだな」と分析もできますが、流れや展開、テンポがいいので綺麗に落ちている感じがします。滑稽というジャンルは江戸時代の作者は相当レベルが高かったのではないでしょうか。一見「くだらないけど面白い」で片付けてしまいそうですが、実は綿密に計算されている感じ。そういうところが見え隠れする面も人を惹きつける一因だと思います。

2008年05月22日

柳家喬之進「仏馬」

 ぽっどきゃすてぃんぐ落語、5月21日更新分に収録。

 落語協会の二つ目の噺家・柳家喬之進さんの一席です。弁長と西念の2人の僧侶と百姓の治郎兵衛、寺の和尚さんの4人の登場人物がいます。しっかりした人が一人もいないでしょうか。予備知識は必要ありませんは、人生訓や教訓もありません。あまり難しく考えずに一つの「笑い話」を軽い気持ちで聴いたほうがいいかもしれません。

 マクラから本題に入っていく展開が非常に良かったと思います。お客さんの反応がいいこともあり、喬之進さんの口調も滑らかですし、噺の面白さも相まって、会場一体となった感じが音声だけでも伝わってきます。百姓の治郎兵衛さんの訛りと朴訥な感じが絶妙に表現されています。この人物がキーパーソンです。

 シュールといえばシュールです。現実離れしています。現代でこそ科学が発達して「うそ」や「迷信」はある程度否定することが可能ですが、江戸時代やそれ以前は、普通の庶民は結構迷信を信じていたかもしれません。落語には珍しく「田舎臭い噺」ですが、「日本むかし話」に登場しそうな、割とどこにでもありそうな話かもしれません。

 ボタンの掛け違いによって、あらぬ方向にストーリーが展開していって、おかしなことがどんどんおきてくるというパターンの話です。エンディングもなんとも不条理です。実際は「やってはいけないこと」だと思いますので、子供さんなどには不向きかもしれません。聴く人を選んでしまう噺ではありますが、一種のコメディとして、気軽に笑いたいなあという方にちょうどいいかもしれません。




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